調査票結果
- 地元での呼び方
- 満名棒の名前がついたはのは、福地バンタの松本半助と「ユハーチャ」にすんでいたという「ピヤハー」とあだ名のついた人との間でくんだ組棒が双方の息がぴったり合い、特に「上打ち」「足切り」などの早業は「本部サールー御メー」のように六尺以上も飛び上り大評判になり、遠く那覇あたりからも多くの見物人がみえ、その時から満名棒の名前がつき有名になったと伝えられる。
武術的身体表現の形態
- 武術的身体操作・表現の形態
- 寸留めで棒同士をぶつけないことにこころがけている。
- 武術的身体操作・表現の分類
- ■型の演武がある ■対面での打ち合い等がある ■芝居の中で武術的所作が演じられる
時期・場所
- 行事が行われる期日(旧暦)
- 5年に1回、旧8月11日には、並里の村踊りは、並里から伊野波まで道ジュネーをして伊野波神社に奉納することが恒例となっていたが、昭和30年伊野波においては、経済的その他理由で、此の道ジュネー、踊りとともに並里神社のみに奉納することになって現在に至る。(「並里の沿革」『並里公民館 落成記念誌』(昭和62年5月23日)10p)
- 上演の場所
- 公民館建物の後方が全開することができ、建物内に舞台をつくる。舞台と支度の部屋は、舞台幕で仕切る。外側お広場に観客席が設けられた。
行事の目的・由来・伝承
- 行事の目的・伝播の仕方 (どのように伝承されるようになったか。)
- 伊野波、並里は昔から「ヌファ・マンナ」と併称され、村踊りや綱引きの行事を共同でやってきた。
- 中断・再興の時期とその理由
- 1903年(明治36)頃大暴風に見舞われ農産物も甚大な被害を受け飢饉となり、農民の経済は極度に落ち込み伝統の村踊りの行事を続ける力がなくなり、伊野波において総合において対策を協議した結果、村踊りは延期することに決議された。それを聞いた並里の青年層は、5年に1回しかない大事な行事を伊野波が延期するなら並里の青年にやらしてくれと願出でて、伊野波で総会を開いて協議した結果、並里に譲渡したとされる。
- 武術的身体表現(「空手」「棒」等)にまつわる由来、伝承や民話、説話など
- 『本部町史 通史編上』(1984年)では「村踊りの中でも特に三人棒、四人棒、五人棒等の棒術は満名棒として知られている」(308p,)とあるが、直近の豊年祭の演目の中では、棒術が一人や二人棒、三人棒の棒術のみが披露される。
当該行事における意味
- 行事の中での演武(舞)の位置とその意味(戦前、戦後、復帰後の変化)
- 保持団体名、並里区村踊り保存会によって、1997年(平成9)8月5日に「並里の満名棒(三人棒)」が本部町指定無形民俗文化財に指定された。
組織・指導者・伝承方法
- 組織
- 保持団体名、並里区村踊り保存会によって、1997年(平成9)8月5日に「並里の満名棒(三人棒)」が本部町指定無形民俗文化財に指定された。
- 組織の特化
- ■武術の部分に特化した組織がある(並里区保存会設置)
- 指導者の氏名(さかのぼるまで)
- 明治・大正時代 カマの手松本平助、ゴーリテンベー ペーキン屋小のウップー、棒術 山仙河のダンザウップー、たなんが、シナフワのタンメー、谷田原 古堅タンメー、大嵐原 上原金三郎 大正・昭和時代 棒術前殿内の亀ウンチュウ 仲村政吉、並里甚助、高良善助 ゴーリテンペー 新里勇、玉城徳三、 シー棒
- 出演者の状況・条件(年齢・性別/戦前・戦後・復帰後)
- 男性で、高校生から49歳までであったが、現在は構成員が少なくなったので、先輩方も含めて行う。
稽古の仕方、期間
- 稽古のスケジュール(戦前、戦後、復帰後等の変化についても)
- ・旧8月11日の1ヶ月前から練習するという。タイボー、ミッチャイボーは練習を行う。
- 稽古の場所(戦前、戦後、復帰後等の変化についても)
- ・公民館前の広場。
演舞(武)構成
- 演武(舞)構成 (芸態)(現状を含む)
- ・一人棒、二人棒、特に三人棒は「並里の満名棒(三人棒)」と呼ばれる。他に、ゴーリティンべー(「ゴーリ」は棒を受けながら、転ぶことを意味し、ティンベーは、直径37㎝、高さ11㎝の円錐形の動物皮を張り黒い漆を塗った盾で、転びながら相手の攻撃を受けることから転びティンベーと呼ばれる。右手に剣、左手にテンペ―をもち、棒と組む。
- 集落以外での披露の有無
- ■集落のみでしか演武したことがない ■落以外(金武町)で演武したことがある
衣装・道具
- 衣裳・道具の名称と着方
- ・上下の白の空手着、紫の頭巾、脚絆に、紅白のたすきを胸前でX字にかけて、背中で蝶結びを行う。土地では「たすき掛け」と呼ぶ。
- 衣裳・棒、他の用具の管理と時代の変化について(戦前、戦後、復帰後等の変化について)
- ・棒は自身の手になじむように自身で黒色に着色し、それぞれが自身で管理する。ゴーリーティンベーのティンベーと木製の剣は、並里区公民館で保管する。
- 棒など用具の材質(戦前、戦後の変化)
- ・棒の種類は、三尺棒、四尺棒、六尺棒がある。6尺棒を自身の手に馴染むように加工し、黒色を塗る。
音楽
- 楽器の内容と呼称、各楽器の演奏者数と時代の変化について(戦前、戦後、復帰後など)
- ・カニ(銅鑼)
課題
- コロナで影響を受けたこと
- 人口減少で若い人材がいない。前回開催したのは、2016(平成28)年でコロナで2020年であったが、コロナ禍の中で中止した。今年2024年は開催の年にあたるが、開催の可否を検討中。
記録
- 文献、映像記録、古老の記録、プログラムや式次第など
- ■文献「並里の沿革」『並里公民館 落成記念誌』(昭和62年5月23日) ■映像記録(2016年の豊年祭記録のDVDがある。) ■プログラムや式次第


