調査票結果

年中行事名
■豊年祭(オンプール)  ■その他(結願祭)
市町村名
石垣市
行政区
登野城
地元での呼び方
棒(ぼう)

武術的身体表現の形態

武術的身体操作・表現の形態
六尺棒、三尺棒、ヤリ、ナギナタ、カタナ、カマ(ガギ)、サイ、トンファー、ヌンチャクを2名1対の組手で演武する。 ※ヌンチャク演武は1985年以降の記録がない。
武術的身体操作・表現の分類
■型の演武(舞)がある、  ■対面での打ち合い等がある

時期・場所

行事が行われる期日(旧暦)
豊年祭(オンプール、旧暦6月) 結願祭(旧暦8~9月):12年に1回、寅年に開催される。前回は去年の2022年に開催。
上演の場所
豊年祭・結願祭とも天川御嶽(アーマーオン)

行事の目的・由来・伝承

行事の目的・伝播の仕方 (どのように伝承されるようになったか。)
豊年祭(オンプール)や結願祭が執り行われる天川御嶽への奉納として、境内において棒術演武を行う。 歴代の棒術師匠から口伝による演武指導により伝承されてきた。近年ではビデオカメラ等による動画撮影を行い記録映像として残し、演武の参考や振り返り等の棒術奉納を行って来ている。
中断・再興の時期とその理由
棒術演武は、結願祭の演舞奉納として執り行われてきた経緯がある。結願祭は1974年以降では、十二支の寅年に開催されている。 また、2009年結願祭開催に向けた棒術演武の機運を高めるため、2005年頃から豊年祭(オンプール)でも棒術奉納を行うようになり、それ以降は豊年祭でも棒術奉納を行って来ている。
武術的身体表現(「空手」「棒」等)にまつわる由来、伝承や民話、説話など
登野城村(字)独自の棒術演武として、六尺棒、カマ(ガギ)を使用する組手があると口伝により伝わっているが定かではない。 また、ナギナタやカタナなどを使用する組手は、他村(字)の棒術演武を参考にその当時の師匠等が創作したと伝わっている。

当該行事における意味

行事の中での演武(舞)の位置とその意味(戦前、戦後、復帰後の変化)
近年では、天川御嶽(アーマーオン)への奉納演武が行われている。

組織・指導者・伝承方法

組織
青年会組織を中心とした若者が演武を担い、経験を積んだ青年会OB等が組織運営を行うための師匠(1名)や副師匠(1名)の役職を担う。 また、近年では現役世代が役職を担うようになってきたことから、副師匠を2~3名、会計も加えた組織に変化してきている。
組織の特化
■武術の部分に特化した組織がある ■武術の部分は専門の師匠がいる
各組織の役割等(戦前、戦後、復帰後等の変化についても)
伝承を継承するために、登野城字会が主体となって保存会を設立し、地域内で継承者の育成に努めている。
指導者の氏名(さかのぼるまで)
比屋根氏、與那覇氏、小波本氏、小波本氏、 新城氏(2021~現在)
出演者の状況・条件(年齢・性別/戦前・戦後・復帰後)
棒術演武:近年の記録では男性のみ出演している。年齢制限はない。 進行伴奏(笛、ボラ、銅鑼):年齢・性別の制限はない。

稽古の仕方、期間

稽古のスケジュール(戦前、戦後、復帰後等の変化についても)
演武を行う行事の約2~3週間前から練習が行われる。
稽古の場所(戦前、戦後、復帰後等の変化についても)
近年では、師匠を担う責任者の屋敷形態や事情により練習場所の確保が行われる。庭やそれに面した路上、公園、公民館、天川御嶽などで行われている。

演舞(武)構成

演武(舞)構成 (芸態)(現状を含む)
豊年祭(オンプール)の天川御嶽の境内にて行われる奉納の一つ。横笛による「ナナツンガニ」で始まり、棒術師匠(1名)及び副師匠(1名)により境内を清め塩で清めた後に演武者が鳥居から境内に入場する。 入場する際には「アシフン」と呼ばれる足ざばきにより、境内を円形に囲むように進んで行く。 全演武者が入場したところで、ボラと銅鑼が鳴り、2人1対の演武者が境内を左周りに円を描くように軽快な小走りで1周し、鳥居と拝殿を結ぶ位置につくとボラがなり、演武が行われる。 演武終了後は、両者拝殿を向き、左周りに円を描くように境内を半周して、前演武者(最初の演武者は最終演武者)の後ろに並ぶ。 すべての演武を終えると、銅鑼の合図で掛け声『ヤー』で一斉に立ち上がり、鳥居と拝殿を結ぶ線の両端から集まり、各々の武器を対面する演武者の武器に当て、銅鑼の合図で掛け声『ユイ』で、左右に分かれた列で境内を回る「スーマキ」を行い、入場時の位置まで着いたら、返し打ち(2回目)の演武を行う。
集落以外での披露の有無
■集落以外(市町村内)で演武(舞)したことがある ■公民館やホールなど(市町村外)で演武(舞)したことがある ■その他(八重山まつりや健康福祉センター開所式等)

衣装・道具

衣裳・道具の名称と着方
演武者:袴下と肌襦袢をベースに、たすき掛けと腰ひもに黒帯を使用する。足脛に脚絆を巻き、黒足袋(わらじ)を履く。頭部にはカニウツパイ(紅型風呂敷)で覆い、二叉に分かれているツノマタと一緒に白帯で全体を固定する。 師匠・副師匠:袴下に袴と肌襦袢をベースに、たすき掛けと腰ひもに黒帯を使用する。履物はわらじを利用し、頭部には幅広の白帯を巻く。 進行伴奏(笛、ボラ、銅鑼):師匠・副師匠と同様の着付け(年度によってはポロシャツ着用の場合もあり)。
衣裳・棒、他の用具の管理と時代の変化について(戦前、戦後、復帰後等の変化について)
近年ではすべての衣装・道具は師匠が保管している。
衣裳・棒、他の用具の修繕や製作、購入の方法(担当、方法、経費など)
現在使用している六尺棒、三尺棒、ヤリ、ナギナタ、カタナは昭和48年頃に地域の方が手作りで製作したと思われる。ガギ(カマ)、サイは手作りと見られるが、製作時期は不明。トンファーは市販品と思われる。2006年頃に市販の六尺棒を数本購入。2022年に文化庁補助事業により、ナギナタ、カタナ、ヤリを新調した(地域の方による手作り)。道具類の購入費は字会予算にて、字会長が発注している。
棒など用具の材質(戦前、戦後の変化)
アピトン、アデク、ユカラピィトゥキャンギ

音楽

楽器の内容と呼称、各楽器の演奏者数と時代の変化について(戦前、戦後、復帰後など)
近年:笛(ピー)2~3名、銅鑼2名、ボラ2名
楽曲(戦前、戦後の変化)
ナナツンガニ

課題

支援してもらいたいことや困っていること(今後の継承等課題等)
棒術では使用する道具が多く、高額な紅型風呂敷などもあることから、それらを保管する専用の場所が必要。
コロナで影響を受けたこと
2020~2022年の3年間は、豊年祭の開催規模を縮小したことで、奉納演武を行うことが出来なかった。

記録

文献、映像記録、古老の記録、プログラムや式次第など
■文献 ■古老の記録、メモ