地元での呼び方

棒（ぼう）

武術的身体表現の形態

武術的身体操作・表現の形態

六尺棒、三尺棒、ヤリ、カマ（ガッケ）、サイ、ナギナタを2名1対の組手で十組により演武する。 棒術演武の最後には、ティー棒と呼ばれる型の演武が2名により行われる。

武術的身体操作・表現の分類

■型の演武（舞）がある ■対面での打ち合い等がある

時期・場所

行事が行われる期日（旧暦）

毎年十五夜（旧暦：8月15日）の夜に行われる。

上演の場所

「オーセ」と呼ばれる琉球王府の時代の番所（役所）の跡地において行われる。

行事の目的・由来・伝承

行事の目的・伝播の仕方 （どのように伝承されるようになったか。）

明治時代より村の若者が棒術の型を伝承し、実践的な古武術としての要素を目的に、歴代の師匠による指導の元、地域の男性により継承されてきた。

当該行事における意味

行事の中での演武（舞）の位置とその意味（戦前、戦後、復帰後の変化）

「オーセ」への奉納の為の演武であることと、武術としての棒術の技術継承とその披露の場としての意味合いがある。

組織・指導者・伝承方法

組織

「白保棒術保存会」として独立した組織がある。会長以下役員及び会員により組織される。また、歴代の打ち手である師匠（1名）により棒術の指導がなされる。

組織の特化

■武術の部分は専門の師匠がいる

各組織の役割等（戦前、戦後、復帰後等の変化についても）

棒術の技術継承をするために、白保地域の者が主体となって保存会を設立し、地域内で継承者の育成に努めている。

出演者の状況・条件（年齢・性別/戦前・戦後・復帰後）

主に白保地域に住む青年男子（10代～40代）により演武が行わるが、年齢制限等はなし。

稽古の仕方、期間

稽古のスケジュール（戦前、戦後、復帰後等の変化についても）

演武を行う行事の約2～3週間前から練習が行われる。

稽古の場所（戦前、戦後、復帰後等の変化についても）

白保公民館敷地内広場にて主に夜間に行われる。

演舞（武）構成

演武（舞）構成 （芸態）（現状を含む）

オーセの境内にて行われる。棒術師匠（1名）により境内を清め塩で清めた後に演武者が鳥居から境内に入場する。 スネ棒：入場する際には二人一組で銅鑼の音に合わせ「ユイ」という掛け声と共に、すり足により境内を列を作って直進する。境内の中央まで来ると、ブラと銅鑼が鳴り、二人一組の後ろの演武者が前の演武者に戦いを仕掛け、棒術演武が行われる。演武終了後は、銅鑼の音に合わせ再び列を作りすり足で直進していく。十組の演武の後に一番後ろにティー棒と呼ばれる型の演武者も列に並び、ブラと銅鑼の合図で型の演武が行われる。 スカシ棒：スネ棒が終わるとブラと銅鑼の合図で二列に並び駆け足で左周りに境内を移動し、境内中央から対角線になるように前と後ろの演武者が向かい合う形に配置する。ブラの合図と共に一番棒から順番に演武していく。演武する際は、ブラの合図でお互いに「ヤー」と掛け声を上げ立ち上がり、銅鑼の音と共にゆっくりとすり足でお互い相手に向かっていく。徐々に早足になり、最後はお互いの肩で勢いよくぶつかり、棒術の演武が始まる。演武終了後は、お互い向かい合ったまま、ゆっくりとすり足で後ろに下がってゆき、最初の位置に戻り「ヤー」の掛け声で睨み合って終了する。十組の演武の後にブラと銅鑼の合図でティー棒の演武が境内正面に向かって行われる。 ブラ打ち：スカシ棒が終わるとブラと銅鑼の合図で一列に並び駆け足で左周りに境内を移動し、一つの大きな円になるように配置する。ブラと銅鑼の合図で演武者全員で一斉に棒術の演武を行う（ティー棒は除く）。 渦巻き：ブラ打ちが終わると、ブラと銅鑼の合図で一列に並び駆け足で左回りに境内を移動し、中心に向かって渦巻きを作りながら小さな円になっていく。先頭が中心に来たら、体を反転させ逆回り（右回り）に駆け足を行い、渦巻きを作りながら、大きな円になっていく。最後はそのまま鳥居から駆け足で退場する。

集落以外での披露の有無

■集落以外（市町村内）で演武（舞）したことがある ■公民館やホールなど（市町村外）で演武（舞）したことがある

衣装・道具

衣裳・道具の名称と着方

演武者：袴下と肌襦袢をベースに、たすき掛けと黒帯を使用する。足脛に脚絆を巻き、黒足袋（わらじ）を履く。腕には黒の手筒を着ける。頭部は紅型風呂敷で覆い、二叉に分かれているサシマタと一緒に白帯で全体を固定する。 棒の演武者は、前と後ろに分かれており、それぞれ衣装の色が異なる。 前：たすき　紫色紅型風呂敷　紫色サシマタ　金色 後：たすき　黒色紅型風呂敷　青色サシマタ　銀色

衣裳・棒、他の用具の管理と時代の変化について（戦前、戦後、復帰後等の変化について）

衣裳及び棒の管理は会員個々人が保管する。 ただし、たすき、脚絆、紅型風呂敷については保存会にて保管する。

衣裳・棒、他の用具の修繕や製作、購入の方法（担当、方法、経費など）

棒については、会員で天然のクバ木を取りに行き、役員の指導の元、会員個々人が制作する。 衣装等は破損や古くなった場合に、会費により購入する。

棒など用具の材質（戦前、戦後の変化）

棒の素材はクバ木が使われている。

音楽

楽器の内容と呼称、各楽器の演奏者数と時代の変化について（戦前、戦後、復帰後など）

ブラ：1名 銅鑼：1名

楽曲（戦前、戦後の変化）

特になし。